萩尾望都さんの不朽の名作「スター・レッド」

少女漫画家としては初めての紫綬褒章を受章した「萩尾望都」さんの名作「スター・レッド」は、1978年~1979年に週刊少女コミック(小学館)で連作された作品です。
遠い未来の地球と火星を舞台にしており、火星人である美しい少女、星(セイ)が、異星人により破壊されてしまいそうになる火星をなんとか阻止しようとする物語です。
その頃火星は、地球により開拓し終えた惑星であり、星は火星で産まれたことを隠して、ニュー・トーキョー・シティで女子高生として暮らしていました。
ひょんなことから出会った、謎の異星人の青年エルグは、星を火星行きの船に乗せ、星はいつか戻りたいと願っていた火星に降り立ちます。
しかしそこで星は、火星に大きな災いが起ころうとしていることを知ります。
星は、火星人が秘かに持っている予知能力や念動力等の超能力を駆使して、その災いを取り払おうと様々な行動を起こしていく・・・というのがあらすじです。

萩尾望都さんと言えば、欧州の少年達を主人公にしたポーの一族やトーマの心臓、メッシュ等が有名で、絵柄自体もどことなく「ヨーロッパ」を感じさせる柔らかで繊細なタッチが特徴なのですが、ヨーロッパモノと同じ位頻繁に描かれているSFモノでも、この柔らかい絵柄がSFの雰囲気とマッチしてまうから不思議です。
そして萩尾さんの作品は、設定が緻密で複雑な話も多いのですが、それらの世界情勢が巧みに判りやすく描かれており、読者に物語の前提を理解させるのがとても上手で、これにより今後起こる事件を深く味わい深いものにしてくれるのです。
あらすじだけを読むと、超能力をもった少女のSF物語ととらえがちですが、一般的なバトル系マンガやSF少女マンガとは一線を画す、哀愁と虚無感を感じさせるストーリーで、何度でも読み返したくなる名作です。